詞藻の海

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詞藻の海

芭蕉の句に、「枯枝に烏のとまりけり秋の暮」がある。長谷川櫂はこの句を次のように解説している。切れ字「けり」が単なる過去を表すのではなく、回想の働きを持つことに注意して訳すと、こうなる。「秋の一日がとっぷり暮れてきた。ふと気がつくと枯れ枝に烏がとまっている」。ここで芭蕉が伝えようとしたのは「ふと見ると枯れ枝に烏がきてとまっているのであった。そういえばこれはいかにも秋の暮らしい景物だ」というのではない。ー長谷川櫂『古池に蛙は飛びこんだか』花神社。ちなみに「ふと見ると枯れ枝に烏がきてとまっているのであった。そういえばこれはいかにも秋の暮らしい景物だ」は、小学館『松尾芭蕉集 (1)』井本農一、堀信夫の鑑賞である。
このように、第一線の専門家でも解釈に異論がある。ここに俳句鑑賞の楽しみ方が潜んでいる。作品はいつしか一人歩きをはじめ、作句の背景・事情は考慮されなくなる。鑑賞者の創造力や想像力の世界が豊かであることが求められる。

私のペンネーム・枯木烏は、この芭蕉の俳句から拝借したものであることをお断りしておきます。

枯木 烏

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